3月の中盤に植林とバイオ燃料のプロジェクト関係の先進事例を見るためタンザニアのアルーシャへ雇っている農業技術者と運転手そして夫とともに訪れた。

目的地は、キガリから1,000kmあまり離れているアルーシャ。東アフリカを以前長距離バスの運転手として走ったこともある運転手のレミーと相談したところ、アルーシャは行ったことがないが、12時間ぐらいでいくのではないかということで朝4時半すぎに出発し、みんなをピックアップして5時前にキガリを出発した。しかし、国境付近と、国境を越えてからいくつか難点があり、予想をはるかに超えて時間がかかりなんと20時間以上もかけてアルーシャにたどり着くことになった。そのトラブルのいくつかを上げてみる。
トラブル1.国境のタンザニア側での収賄疑惑?
国境を越える手続きは、まずルワンダ側で出国の手続きを行った後、数メートル先のタンザニア側での入国手続きとなりVISA等手続が済めばすぐに入国可となる。そこで問題が発生した。私達の車はUNのプレートがついて明らかに外国人の乗っている車だったためか、タンザニア側の車の入国許可を出す担当者が、ルワンダ側のルワンダ国税局で車の証明書?なるものがないと入国させないと言ってきた。しかたがないので、ルワンダ側に戻り、ルワンダ側の担当者にお願いして出してもらったが、通常は求められないそうだ。担当者によれば、彼らが時間稼ぎをし、賄賂を要求するつもりだったのではといわれた。それは最も避けたいところ。運転手に証明書をもって賄賂を求められないよう気をつけて処理するようお願いした。なんとかそのあとはさらに言われることはなく、通してもらうことになったが、予想外に時間がかかり国境付近で50分近く過ごす羽目に。
トラブル2.アルーシャに向けて道路走行中に警察に不合理に止められ罰金を請求される。
タンザニアのアルーシャに向けて走行中、1/3ぐらいまで来たかどうかというところ、道路沿いに駐留していた警察官のグループに止まるよう指導された。警察によれば、スピード違反だというのだ。スピードガンを示し、ここは50km制限で、君たちの車77kmだから罰金20ドル払えというもの。しかし私達がみたところ警察の前を通る直前の標識は100km制限を指しており吹っかけられているようにしか思えない。とりあえず、運転手のレミーが代表して交渉を英語とスワヒリ語を混ぜてやってくれ、最後は5ドルを払うしかないというところまで来て、私達をちらりと見た後、結局警察側が払わなくてよいとして行かしてくれた。
ルワンダと違ってタンザニアやケニアでは賄賂が横行しているようなので、こうした警察による不合理な罰金請求はあまり驚くべきことではないようだ。しかしこれによってまたしても40分ぐらいロスをしてしまった。
トラブル3.最後300km未舗装の道
さらに誤算だったのが、残り300km余りというところで舗装していない道しかアルーシャへ辿りつく方法はないということが地元の人たちの話でわかり(事前にグーグルマップで見た時には、道の状態までは見えなかった)目の前が真っ暗になってきた。ガソリンスタンドの若者は、バスだと7時間ぐらいかかるらしいといっていた。その時、すでに夕方の6時を回っていた。道が舗装されていないということは、明るいうちはまだある程度のスピードでいってもコントロールができるが、暗くなったらスピードは出せないし、のろのろ運転でいくしかない。いったいいつになったら着くのか。レミーを励ましながらみんなで頑張って目的地へ向かった。国立公園付近の未舗装道路はあたりが真っ暗で、建物らしいものが見当たらなかった。日中はどんな風景なのだろうか、夜だと薄気味悪い感じだ。

ようやく夜中12時半を回ったころ、アルーシャの街へ入るための警察チェックがあり、ようやくアルーシャに着いた。頭がぼーっとしながら、なんとかホテルを探したどり着いたのが夜中の1時ごろ。朝4時半に家を出たのだから21時間近くかけてようやくアルーシャに着いたことになる。どおりで車で行くという人を聞いたことがないと思った。こんなに遠いのね、、、、と実感。かなり無謀な旅になってしまった。
後日アルーシャにある日本人が経営する日本食レストランに行ってわかったのだが、アルーシャは結構銃を突きつけた強盗、収奪事件が多く、夜、道を走っていて場所によっては罠をかけて止めさせ集団でやられるケースも多いという。なので、夜中走ってきて無事にホテルに到着したこと自体かなり幸運だったことになる。あとで考えると恐ろしいが、二度とこういう行き方はやめようと決めた。帰りは別のルートで国立公園を通って2日かけていくというもの。国立公園を通過するのでお金はかかるものの現実的な選択だった。
予想を超える長時間の旅とはいえ、アルーシャまでの行きと帰りのNgorongoro保護地区やSerengeti国立公園などを通ってきて、タンザニアの風景は、ルワンダとはかなり違うスケールの大きさを感じた。

果てしなく続くサバンナの風景や太古とのつながりを感じさせる大きな岩が隆起した地形の数々。アフリカらしい広大な風景が広がっていて美しい。
マサイ族の定住地域でもある。

ルワンダとの国境からそう離れていないところは、結構森が残っている。

しかし視察先のパートナーグループによれば、かなりのスピードで森が焼失しているという。
そのため、ジャトロファなど薪やケロシンの代替燃料となる木を植えてそうした木の伐採に歯止めるかける活動を展開しているのだ。
視察先付近ではアフリカ最高峰キリマンジャロも眺められ、反対側の道路には、地元の山、メロ山が立ち聳えている。とても壮大な景色だ。こんな風景を毎日見ながら生活しているんだからせかせかするわけがない。人も自然と気持ちのおおらかなのんびりした傾向になるだろう。

ルワンダでも結構視野が広いと感じたが、タンザニアはその比ではない。ルワンダの場合、ほとんどが丘状の地形のため、その分水平線の広がりが感じられないのかなと思う。アルーシャのあたりは、結構土が火山灰の混じった良質のもので穀物の育ちがよいようだ。代替燃料対策で植えているジャトロファは、穀物の畑を邪魔することなく、穀物の周りに囲いや生垣として植えられている。

すでに10年以上にわたり、この団体が関与する前からこの木が植えられていたようだが、木の活用方法がわからずにただ切り倒されていたようだ。そこでこの団体では、ジャトロファの種から絞った油の活用方法を実際に活用しやすい道具(ケロシンや薪の代わりになるジャトロファ用ランプや調理用ストーブ)や石鹸を自前で開発し普及啓発活動をしている。

すでに協力しているいくつかの農家のグループでは実際に油を抽出し、石鹸をつくって地元で売るサイクルを始めている。
興味深かったのは、ジャトロファの花を使って蜂の巣をつくる仕組み。

ジャトロファの花を活用してできた蜂蜜はさらに栄養価が高いとの結果が出ているという。ルワンダでも、養蜂は近年盛んになってきているので調査は必要だが、やってみる価値はありそうだ。
ルワンダでは気がつかなかった1994年の内戦の影響を感じさせたのが、タンザニア人のルワンダ人に対する反応である。ルワンダと違いタンザニア、ケニア、コンゴなど近隣の国々は、民族の数も多いうえ、言語の数もそれに応じて異なる。しかしルワンダの場合は、言葉も同じなのに部族を区別し格差を設けていた。タンザニア人にとっては、民族の違いは言葉も違うことから尊重されており、繊細な問題ととらえていないのかもしれない。こちらがドキッとしたのが、車の中で先頭に座っていたルワンダ人二人(農業技術者と運転手)にかけた質問である。「それで二人はフツ族系なの?鼻がすっとしていないし、、、」ルワンダにいる限りルワンダ人としてID登録している今、こうした質問をするのは過去の紛争時の問題を再燃させかねないのでセンシティブなことである。しかも容姿の特徴からそうしたことを指摘するのはますますよろしくない。
しかし黙って様子を見るしかないとやりとりを聞いていた。農業技術者のアレックスがこう切り返した。僕たちはフツ系ではないけれども、今は、ルワンダ人として生活していて、元フツ族やツチ族の人たちを容姿で判断することは難しくなっているんだ。混ざっている人も多いし。フツ系の人も鼻筋が通っていてきれいな人も結構出てきているんだよ。」っと。今度は運転手のレミー方がちょっと疑問をなげかけるように「なんでぼくがフツに見えるんだい?」とも聞き返していた。私達は、かつて彼らにそうした質問を聞いたことがなかったのでなんだか居心地が悪かった。
しかしここだけでなく、キガリに戻る途中のムアンザというタンザニアで2番目に大きい町にあるホテルに滞在したときも同じことが起きた。あとでレミーが教えてくれたのだが、今回の旅で10人近くに同じような質問をされたそうだ。かつて彼がウガンダに行った時もウガンダにいるルワンダ人と思われる人に君はIntelligence (秘密警察)か?と聞かれたこともあるという。どうもこうして質問をしてくる人たちは1994年のジェノサイドが起きた時に加害者として関わり、近隣の国に逃げた人たちが多いという。ルワンダに戻ってくると即つかまり牢屋に入れられるため、タンザニア人やウガンダ人として生活をしながら戻って来られないままになっているそうだ。
ルワンダにいる限り、表向きこうした過去の紛争の影を深入りせずとも活動はできるのだが、かえって他の国に行った時にあからさまになってくるのが皮肉なことだと思った。幸い二人ともさほど気にしていないようだったが、過去の内戦の傷跡は近隣の国の人々との関係も含めてまだまだ消えないもののようだ。
タンザニアの壮大な風景を見た後、ルワンダに戻ってくると人口密度の高さや道の狭さに気付かされる。でも夕日が連なる丘の上にかかり静かに落ちていく風景を見て何やらほっとした気分になった。よかった無事に帰ってきた!
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